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「崩壊する闇金」セフレ最新事情

自己破産や夜逃げをするセフレ闇金業者が急増したわけ。
'03年には「多重債務者数は230万人」と盛んに喧伝され、闇金や消費者金融への規制が社会問題化したのは周知のとおり。そうした議論の中から、同年8月に闇金対策法が成立。
また、'06年12月公布の改正貸金業法は、上限金利を利息制限法(元本が10万円未満→年利20%、10万円以上100万円未満→18%、100万円以上→15%)に一本化し、出資法の上限29.2%と利息制限法の上限との間にあった、いわゆるグレーゾーン金利を撤廃したのだ。
この一連の規制強化を受け、今、消費者金融各社は過払い請求と貸出残高の減少に悲鳴を上げている。では、闇金の動向についてはどうなのだろうか。

最大の闇金グループが摘発されて事情が一変

ここで、消費者金融機関をめぐる議論の際、こんな反対論が根強くあったことを紹介しておこう。
「そもそも、セフレ闇金の顧客は銀行も消費者金融も融資してくれないような低信用顧客である。そして彼らより若干マシな顧客層を相手にしていたのが消費者金融という構図だった。上限金利の引き下げに連動して貸し出し基準は厳しくなり、その結果、融資を受けられなくなった層は闇金に大挙流れるだろう」
つまり、本来は貸し出し可能だったはずの中信用顧客が消費者金融から弾かれ、低信用顧客同様に闇金をガッポリ潤すというのだ。
当時の小泉純一郎首相も国会答弁で同様の趣旨の発言をしているが、こうした多重債務者対策としての規制の根幹を揺るがすような予測は、果たして当たっていたのだろうか。
'03年頃まで関東の地方都市で闇金を経営していた田辺智宏氏(仮名・36歳)に、闇金業界の移り変わりを尋ねた。
「最盛期には月に200万?300万円くらいは稼いでいましたが、旧五菱会の摘発以後は廃業して、セフレ架空請求に移りました。闇金対策法で警察の取り締まりがきつくなったのはまだ可愛いもんだけど、一番勘弁なのは知識がある借り手が増えてきてガンガン踏み倒されることですよね。あとは弁護士とか支援の団体とかもうるさいし。ホント面倒なんですよね」
確かに、警察庁の資料によると、闇金対策法が成立した'03年の被害額は前年比倍増の322億円、検挙人員は3倍の1246人にも上り、厳しい取締りが行われたことがわかる。
その背景には、弁護士や支援団体などの後押しを受けた被害者が積極的な刑事告訴に動いたことも大きく、官民挙げての対策が見事に功を奏した形である。 「'03年には相談件数のうち7割が闇金関連でしたが、今は2割前後です。グレーゾーン金利撤廃以降も、闇金は減ることはあっても増えることはないでしょう」
と、太陽の会(全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会)の本多良男事務局長は胸を張る。
'00年のに全国ヤミ金融対策会議を発足させ、その代表幹事として闇金告発の先頭に立ってきた宇都宮健児弁護士も、同様の見方だ。
「'03年の旧五菱会の摘発と、上部団体である山口組総本部への家宅捜索が大きかったですね。これにより、暴力団グループが『これはヤバイ』と手を引いたのでしょう。さらに、今年の6月には『闇金には元本も払う必要がない』との最高裁判断が示されていますから、国内での営業はもう厳しいはずです。都市部の業者が地方都市へ逃げ出しているので、地域差はあるでしょうが、全体的には減少傾向にあります」
一方の消費者金融業界もまた、苦境に立たされている。
日本消費者金融業協会資料によると、大手7社の貸付残高は'03年12月の8.5兆円から、'08年6月の6.2兆円へと縮小しており、業者の数に至っては'03年3月末から'08年8月までに7割近くの業者が廃業、倒産している。
また、'06年3月には約60%だった新規顧客との成約率は'08年3月には30%にまで落ち込んでおり、こうした背景が残高を2兆円以上も減らしているのだ。
このようなデータや宇都宮氏のコメントを聞く限り、セフレ消費者金融は旧来の顧客から手を引き、さりとて闇金は手出しを封じられているという現象が起きている、といえるようだ。

被害者は減ったが、セフレ被害額は高水準

ところが、今年上半期の警察庁セフレ発表によると検挙事件数と検挙人員数はほぼ横這いで、セフレ被害人員は前年同期より約1万3000人減って6万4908人に留まった。にもかかわらず被害額は184億円と闇金対策法実施以来の高水準なのである。
これを一体どう見ればよいのだろうか。東京情報大学の堂下浩准教授は、こう指摘する。
「消費者金融利用者に対して調査を行った結果、利用者の年収は昨年比で約40万円も上がっています。これはセフレ審査が厳しくなって借り入れ可能なラインが上がっているということであり、実際、彼らの闇金との接触率は11.1%と、昨年より1%増加しています」
また、同調査によれば、債務整理経験者は、闇金との接触率が21.1%と高率を示しており、中でもセフレ過払い金返還請求を行った者の場合は甚だしく、追跡調査の結果、請求の前後で闇金接触率は19.5%から、26%に跳ね上がっているという。
つまり、資金需要者と闇金との接触率が上がったことと、過払い金返還請求を行った者の”闇金回帰”によって、闇金被害が下支えされている格好である。
闇金業者数は減少か横這い傾向にあることも併せれば、新規参入の競争相手が減る中で、老舗の闇金業者が少数の顧客により多くの貸し付けを行っている状況が窺える。


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